【質問】
「お墓をちゃんと大切にする人は、先祖の恩恵が深い」とか申しますが、お墓にご先祖がいらっしゃるのですか?
お墓を粗末にするとどうなるのでしょうか?
【答え】
死者の気持ちになって考えてみてください。
あなたは、死んだ時にお墓に入りたいと思いますか?
大方の人は、「お墓の中には入りたくない・・」となるでしょう。
なぜなら、
お墓とは生きている人のためにあるからです
昔まだ文字が一般に普及していない時代には、一族の家系図や記録を残すことが出来ませんでした。
その時代の人々は、一族の歴史を全て墓として残したのです。
文字が普及するようになっても、文字の読めない人は自分のルーツや先祖の家系を忘れてしまいがちです。
だから忘れないように墓を、自分の家系を形として残すための手段としていたのです。
だからこそ、豪族は一族の象徴として立派な墓を作ったのです。
お墓とは、「先祖や家系の記録媒体」であり一族にとって「遺産であり宝物」だったのです
現代は、書物や文章が氾濫しており、家系の記録媒体としての墓の有難みが薄れています。
しかし当たり前のことですが、現代人でも墓の前で手を合わせると、先祖のことを思い出します。
ゆえに、墓というのは先祖の遺骨が入っている必要はなく、先祖を祭ったところが墓になるのです。
言い替えれば、墓に生身の霊魂が入っている必要はないのですが、手を合わせると先祖の霊を感じることが出来るのです。
そうなると、
「私は霊魂を信じないので、墓を大切にする必要を感じません・・」などという理屈は通らないことになります。
墓を大切にしないと言うのは、家系という遺産を投げ捨てるのと同じだということになるからです。
逆に墓を大切にする人は、自分の家系、ひいては自分自身を大切にすることになるのです。
墓というのは、人としての最も原初たる家宝だと言えます。
ゆえに墓を粗末にして打ち捨てることは、動物化するのと同じで、人としての未来や核を捨てるに等しいこととなるのです。
だから墓を大切にしない理由は無いのです。
生きている人にとって墓とは、先祖の霊魂というよりも、人としての生きた記憶であり、証だと言えます。