2023年日本と世界の展望③で、米国のバイデン政権が、ロシア・ウクライナ戦争を止めるわけにはいかない理由を説明しました。
理由①戦争を止めると、欧州が親ロシアになってエネルギーを輸入するから。
理由②戦争を止めると、化石燃料が暴落するので、現在暴利を貪っている米国の燃料会社が困ることになるから。
この二つの理由以外にも大きな理由があるのです。
それは、
③米国がウクライナにいる限り、中国に睨みを利かせられて動きを封じることが出来る。
ということです。
事と次第によっては、現在ロシアに向けているミサイルの照準を、中国に向け直せばいいことなので即対応できるのです。
そしてもし、中国がおかしな行動を起こした時には、日本とウクライナ(米国)が中国を挟み撃ちにすることが出来ます。
だから米国としては、日本を何としても親米路線に取り込んで、味方に付ける必要があるのです。
もし米国がウクライナから撤退すれば、中国はチャンス到来とばかりに迷わず台湾を侵攻するでしょう。
このように、米国がウクライナに駐在すること(と日本を味方につけること)は、ロシアのみならず中国、欧州をコントロールする為に無くてはならない事なので、戦争を止める訳には行かなくなっています。
そしてここにもう一国、戦争を止める訳には行かない国があるのです。
それは、ロシアです。
【ロシアが戦争から撤退できない理由】
もしロシアがこのウクライナ戦争で兵力を使い果たし、疲弊枯渇して撤退でもすれば、歓喜に震える国家があります。
それは、中国です。
そして、チャンス到来とばかりにロシアに攻め込むでしょう。
或いは兵力が枯渇したロシアに対して、武器や人材を輸出することで、ロシアを内側から喰い荒らしてコントロールしようとするかもしれません。
もちろん狙いはロシアの化石燃料です。
ロシアのプーチン大統領にはそのことが分かっているので、不用意に劣勢な状況のまま撤退など出来なくなっています。
常に国境を接する中国の動きにも神経を尖らせているのです。
【欧州はどちらに転ぶのか】
今の欧州諸国にとっては、エネルギーの確保が国家の生存をかけた緊急課題になっています。
米国からのエネルギーの輸入が十分でないならば、以下の2通りの選択しかありません。
①ロシアとの関係を正常化して、元のようにロシア産エネルギーを輸入する。
でもこのことは、米国と敵対することを意味します。
裏切られた米国もただでは済まさないでしょう。
②中国との交易を活発化させてソーラーパネルを大量に輸入する。
欧州は、元々反中国ではないので、交易を活発化させるのは難しいことではないのです。
でもそうなると、中国がヨーロッパのインフラを牛耳ることになるので、米国にとっては我慢ならないことでしょう。
そして中国が大量のソーラーパネルを製造するためには、ロシア産かアラブ産の化石燃料を大量に輸入する必要があります。
もしそうなれば$(米ドル)が手に入らない現在、中国元が取引に使われた場合には「元」が世界の取引通貨として流通することになります。
それがまかり通れば、ロシア、欧州、中国の同盟が出来ることになって、米国は孤立してしまいます。
米国のバイデン政権にとっては、それが最悪の事態でしょう。
何が何でも日本を取りこまなければ、世界から孤立してしまいます。
そして、そうならないように欧州がロシアや中国から化石燃料やソーラーパネルを輸入するルートを何が何でも潰さなければならないのです。
だからウクライナ戦争を止める訳にはいかないのです。
米国にとっての命運が掛かっているのです。
その⑤に続きます。