【質問】
日本人は、ブランドもの好きだと言われています。
確かにブランドバックやアクセサリー、スーツを身に付けている人を沢山見かけます。
日本にこんなにたくさんのブランドファンがいるのは、どんな原因がありますか?
【答え】
日本人によくあるブランド嗜好は、実は欧米人にはあまり無いものです。
価値の有るものに拘る傾向は、日本も欧米も同じなのですが、欧米では、ブランド名に偏執的にこだわることはあまりありません。
その理由は、欧米が個人主義で、一方、日本は個人主義ではないからです。
個人主義ではないから、ブランドものが流行るのです。
なぜなら、個人主義ではない日本人は、自分自身の本質的な価値が分かりにくいので、ブランド物によって自分の価値をアピールする傾向になるからです。
これは、「日本の横並び教育の弊害」とも言えるものです。
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*横並びを当たり前にする社会では、
社会において自分がどういう人間か、どのような価値がある人間かを
自分自身で定義(決定)することが出来なくなるのです。
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だから自分自身の中身が空虚(ヴォイド)なので、外面で自分自身を表現するしかなくなるのです。
自分がどういう立ち位置にいるかが分からないので、「誰でも知っているブランド物に自分の立場を定義してもらおう」とすることになるのです。
これは日本社会が、個性が無い横並びを是とする傾向から来ています。
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単刀直入に言えば、
「ブランドで着飾る人は、本当の自分に自信が無い人である」と言えます。
真に個性の強い人は、ブランドものは身に付けないでしょう。
岡本太郎が、エルメスのスーツケースを得意げに持つ姿は想像出来ませんし、
スティーブン・ジョブズが、高級外車のスポーツカーを乗り回して自己アピールする姿も想像できません。
このようなブランドもの嗜好は、実は、
「人間としての価値が私にはありません!」
と言っているようなものなのです。
だから欧米の本当のお金持ち達は、みんな一緒の安物(!)のブランドは、身に付けたがらないのです。
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【日本人の横並び傾向】
日本人には、横並びの中で序列を付けたがる傾向があります。
まるで、学校(同じ授業を受けてテストの成績で優劣をつける)のようにです。
そして、そこ(みんな一緒で安心できる横並び状態)からなかなか出ようとしない傾向があるのです。
だから社会のイノベーションが遅々として進まなくなるのです。
このイノベーションが出来ない傾向は、「豊臣時代からの五人組の農民根性(じっと動かずに出しゃばらずに、事態が変わるのを待つ)」が原因であり、その心根がいまだに尾を引いている、とも言えます。
ブランド物が日本でだけ流行っているのは、丁度ソーシャルゲームが日本でだけ流行っているのと全く同じ理由からと言えます。
それは、持ち金の多寡だけで横並びの他者と優劣を競う、ということなのです。
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言い換えれば、
日本人は、本質的には個人主義には全く適応できていないのです。
ブランド物によって、お金を持っている以外に自分に価値が無いことを表現して、お金に依存した人生を送っていると言えます。
本来ならば、お金とは人生を豊かにして彩るために利用すべきものですが、その主従が完全に逆転しているのです。
この状態は、人生の価値を金の多寡だけで計っていることになり、この状態が続く限り、本当の意味の幸福にはなれないのです。