②で、日本企業の富裕な高齢管理職の、私的財産を目減りさせたくない心の内を説明しました。
また、搾取され過ぎた日本の若者たちが、円を見放して円を使わなくなるかもしれない、という仮定の話をしました。
それでは、円が見放されるとはどういうことかについて、見てみましょう。
【政府の対応】
政府の中には、この状態を大変危惧している議員もいるようです。
政府は、市場を活性化させたいと常々思っているのですが、大企業の重役たちがそれを許さないのです。
国会議員は選挙に負ければただの人なので、支援者の要望に答えなければならないところがあり、特に大企業の幹部たちの要請は無視出来ないのです。
彼らの支持を失っては、政治が回らなくなるので、意見を取り入れざるを得ない部分が確かにあります。
この円安の対策としては、富裕層から市場に円を吐き出させるしかなく、そのためには利上げが一番効果的なのですが、恐らく岸田政権は日銀と話し合った結果、自民党としては何もしない決断を下すでしょう。
話し合ったことそのものを成果とするだけになるでしょう。
【企業の富裕な高齢管理職】
彼らは、団塊の世代と呼ばれている人たちで、日本という国家が盤石な強さを誇っていると信じ込んでいます。
当時、連合赤軍があれだけ暴れても、日本という圧倒的に強固な国家には何の影響も無かった、と思い込んでいるのです。
彼らは子どものような精神の持ち主で、日本という親である国家に対して、駄々っ子のように反抗することを、是としているのです。
そして子どもの横暴によって親が命の危機に瀕していることには全く気が付かないのです。
【若者の低賃金制度】
日本の企業に勤める労働者の給与が全く上がらないままに、物価だけが高騰していくことをスタグフレーションと言いますが、日本は既にその兆候が出ています。
日本の若者は、他国と比べてもまじめでよく働くのですが、現在、外国と比較して非常に低賃金で働かせられています。
このままもし賃金が上がらなければ、給与だけでは食べていけなくなる可能性があります。
そうなれば高い給与の職を求めて、海外に渡航する若者が後を絶たなくなるでしょう。
一方、国内に残った若者は、低賃金のまま追い詰められてしまいます。
そうなれば、低賃金で確り働いてくれる日本人を雇うために、外国企業がどんどん参入することになるでしょう。
そして国内の日本企業よりもずっと高い年俸を提示して、若者の注目を集めることでしょう。
働かない高齢管理職に高い賃金を払うために、若者に低賃金を強いる日本企業に比べて、良く働く管理職を抱えた外国企業は、当然ながら、若者に高い賃金を支払うことが出来るのです。
丁度ひと昔前の中国に、世界中の先進国が安い人材を求めて集中的に進出したのと同じようなことが日本でも起こる可能性があるのです。
これは、日本人の若者が食べていくために、国内外で賃金の高い外国企業のために働くようになるかもしれない、ということです。
言い換えれば、将来性の有る日本の若者たちの殆ど全てが、外国企業に取られてしまうということです。
これは、日本の若者が生み出す利益が、外国にどんどん流出する、ということを表しています。
そしてやがて、外国資本で働く若者たちは、どんどん目減りしていく円よりも、外国貨幣での給与を望むようになるでしょう。
つまり、日本の若者が円を見放すということになります。
こうやって、働き手を失った日本企業は、儲けられなくなって、存在価値が無くなるのです。
日本企業が稼げなくなると、日本は外貨を稼ぐことが出来なくなり、円は暴落してしまいます。
そうなると益々日本企業は、どれだけ円を積んでも若者を雇うことが難しくなります。
働き手を失い、利益を生み出せなくなった日本企業に残された、唯一の利益を出す方法とは、企業そのものを外国に切り売りした時になるでしょう。
こういう事態に陥ると、あんなに円を貯め込んでいた富裕層の高齢者たちも、多額の円を積まなければ若者を雇うことが出来なくなり、結局貯め込んだ円を失うことになるでしょう。
これは、富裕層の高齢者が、インフレを抑えて自分の資産を増やしたつもりだったのが、逆にハイパーインフレを招いてしまった、ということになります。
しかも、円の使い道がごく限られてしまう可能性すらあります。
この円紙幣は、まるで子供銀行券のようです。
どんなに沢山のお金を持っていても、何も買えないし、使い先が無い・・・
本当にこうなってしまえば、日本の価値が限りなく棄損されていくことになります。
そうなる前の対策が急務です。