今回はある穏やかな日の、ある男性の日常の話です。
今日は家庭の生ゴミを出す日です。
とある男性が、早起きをして家中のごみ箱のゴミを全て集め、まとめて袋詰めしました。
家の外のボックスに入れて間もなく回収車が集めていきました。
男性はほっとして水を飲もうとしたところ、ふと台所の流しの三角コーナーに昨日妻が縛った生ごみが残っているのに気が付きました。
ショックと共にふつふつと怒りがわいてきました。
今日は妻が起きるのが遅く、いつもならとっくに妻が台所の生ごみをゴミ袋にあらかじめ入れていたのですが、今朝に限ってそれが出来ていなかったのです。
だから男性は台所の三角コーナーをいつものように確認するのを忘れてしまったのです。
男性は完璧主義者で目の前のことに落ち度があることに我慢が出来ないたちです。
男性は「妻の落ち度だ!」と、完璧にゴミ出しが出来なかったことを妻のせいにして腹が立ってきました。
そして生ごみをちゃんと入れなかった妻を責める気持ちが沸々と沸いてきます。
そのエネルギーが溜まってこらえることが出来なくなって妻に対して声を荒げます。
妻はいつものことなので面倒くさそうにしています。・・・・・・・
この男性は、この機会をヴィパッサナー(自己観察するための瞑想)の良い練習にすることが出来ます。
正しいヴィパッサナーの方法は、自分自身の感情とその結果の行動をしっかりと観察することです。
自分に湧いてきた感情は、何が原因で湧いてきたのか?
それは適切だったのか?
自分の問題を誰かに責任転嫁をしていないか?
その負の感情を解消するのにもっと別な方法はなかったのか?
この男性の場合は、管理能力はあるのですがそのやり方に問題があるのです。
この場合は、自分の管理能力が完璧ではないので人(妻)が思い通りに動かないのです。
そしてそれに対して腹が立つことになったのです。
それでは管理能力をもっと強化すればいいのか?
それは妻がゴミ出しに関して自分自身の役割をちゃんと果たすように妻を管理することになります。
しかし、そのことが自分にとって利得があるかを考えなければなりません。
妻がどういう反応を示すか・・・妻との人間関係はどうなるか?
ここで男性は、ゴミ出しの管理を強化するよりも管理を緩くして完璧であることを手放した方が自分にとって利することに気が付きます。
その方が家庭の夫婦関係が円満になるはずです。
カルマ的に説明すれば、何かを相手のせいにするというのは、相手を責めることであり、
相手を責めるということは、実は相手の落ち度に対して自分自身で責任を持つことを決定している状態なのです。
この責任感が行き過ぎると人間関係を破壊してしまいます。
物事はバランスが大切です。
ヴィパッサナーによってこのバランス感覚を磨くことが大切です。
このように日常の些細なことでも、自分自身の感情と行動をヴィパッサナーすることで、自分自身の本質と向かい合い、適切に行動することができるようになります。