一般に、先進国の企業が発展途上国に進出するのは、安い労働力を調達するためです。
この場合、重要なのはその動機です。
ただ単に企業の利益のためだけか、または少しでも現地の発展に寄与したいとも思っているかで結果はかなり違ってきます。
もし利益目的と同時に、現地の発展に寄与する動機があるならば、やがて現地が発展して豊かになります。
企業の投資によって、現地の人々の暮らしが豊かになると、進出した企業によって生産された製品を購入することが出来るようになります。
そうなるとその現地での利益が、本国にも還元されて本国も豊かになっていきます。
現地が豊かになることで本国も発展する良い循環が出来上がります。
一方、安い労働力を調達する目的のためだけに進出した場合は、安い労働力によってその分利益が大きくなります。
そして楽して儲けられたために、楽して製品を作ることに慣れてしまい、研究開発やイノベーションが遅れがちになります。
自己利益最優先となることは、国全体の発展や進歩には無関心になり、とかく安い製品ばかりを求めるようになります。
そして、日本国内においても国内製品よりも外国の安い製品を求めるようになります。
外国で生産されたものばかりを買うようになると、本国からお金が途上国に流れ出て行くようになります。
ここで重要なポイントがあります。
安いものを買うことで大きくなった富を何に使ったかが、その後の国家の繁栄を左右します。
余剰金を更なる国の発展のために使ったのか?それとも浪費したのか?
将来のためにイノベーションなどに使うなら、経済状態もやがて上向くでしょうし、浪費してしまうならそれは将来、子孫に残されるべき資産を食い潰していくことになります。
さて、日本はどちらの道を進んだのか、又は進むのでしょうか?