人間関係と社会心理

嫉妬心の正体とは? なぜ人は他人に嫉妬するのか

嫉妬心の正体とは? なぜ人は他人に嫉妬するのか

嫉妬とは、いったい何なのでしょうか。

嫉妬とは、いったい何なのか?一般的には

一般的には、嫉妬とは「他人が自分より優れていると感じたときに生じる不快な感情」と説明されます。地位や能力、恋愛関係など、何かしらの比較が生じたときに発生し、その結果として劣等感や不満が強まるとされている。

確かに間違いではありませんが、これだけでは「なぜ嫉妬が、胸を引き裂かれるような強烈な苦痛を伴うのか」の説明がつきません。


知恵者の答え

嫉妬とは「自分の立場が脅かされている」と感じた時に出る危険信号です

他人の成功を見せつけられたとき、胸の奥がざわつく。応援したいはずなのに、どこか引きずり下ろしたいような感覚に襲われる。

実際のところ脳科学的な見地では、嫉妬は単なる気分の問題ではなく、脳内で「物理的な痛み」と同じ領域(帯状回前部)が反応していることが分かっています。
嫉妬とは、胸の奥を直接えぐられるような「痛み」そのものなのです。

進化学的に見れば、これは生存のための警報装置(アラート)でした。
他者の成功は、そのまま自分の利益や機会獲得の損失につながる可能性があるため、脳はそれを「危険」と認識するのです。

つまり嫉妬とは、「自分の立場が脅かされている」という危険信号です。
しかも厄介なことに、この信号はかなり大げさに鳴るように作られている。多少の差であっても過剰に反応し、感情を強く揺さぶることで、競争から脱落しないようにする。ここまでが生物の機能としての説明です。

ただ、この説明だけでは、嫉妬するのは「仕方がないもの」という結論で終わってしまいます。

「他人の評価」に自分の価値を預けていないか?

現実には、同じ状況でも嫉妬に強く苛まれる人と、ほとんど影響を受けない人がいる。この差はどこから来るのでしょうか。

知恵者の答えはここで少し角度が変わります。

人は自分の立場や価値を、無意識に周囲と比較しています。そして自分が評価されていないと感じた瞬間に、その感情をそのまま脅威と感じるのです。
実際には他人の成功そのものが脅威なのではありません。自分の価値や立場が、他人に脅かされているように感じる、すなわち、他人の評価に自分の価値が依存していることが問題なのです。

嫉妬を抱く人は、まず先に自分が常に周囲から他者よりも高く評価されるべき人間だという前提があります。そしてその評価が得られていないと感じたときに、不満が外の人間へと向かうのです。
結果として、「あいつはおかしい」「自分は不当に評価されている」という歪んだ感情が現れます。それが嫉妬です。

自分が自分を評価することができない。他人から評価されないと自分の価値が分からない、存在意義を奪われたような気になる。他人が自分より上であることが許せない。立場を奪われると自分が自分である誇りさえ見失いそうになる。
嫉妬とは「自分自身の価値を他人や社会に預けている状態」で強くなる感情です。

自分が所属しているグループやクラス、社会への帰属意識、依存心が強すぎると、その社会で評価されないと感じた時に、自分の立場を維持きなくなってしまいます。自分の足でしっかりと立っていられなくなる感覚に襲われるのです。

逆に、自分を正しく評価できている人は、他人を嫉妬することが少ないのです。
他人がどれだけ評価されようと、自分の価値は1ミリも変わらないと確信しているからです。

例えば、自立した組織のリーダーは滅多に嫉妬心を抱きません。
リーダーは、人の先陣を切って進み、人々を引っ張らなければいけない立場なので、そもそも社会に依存する暇がありません。
絶海の孤島に住むロビンソン・クルーソーも、誰に対しても嫉妬心など抱きようがありません。嫉妬する相手がいませんからね。

嫉妬を乗り越えるカギは「自灯明」

「自灯明(じとうみょう)」。 自分を灯(ともしび)とし、他者に依存せず、自分の足で立つこと。

自分の方が相手よりも立場が上のはずだ、優れているはずだ、というゆがんだ思い込みこそが、嫉妬心の源泉です。

厳しい言い方になりますが、このような妄想を抱くということは、自分がその立場にふさわしいだけの努力をせず、責任も取らず、ただ「評価」だけを欲しがり、それが得られないからと他人の足を引っ張ろうとしています。精神的に他人に「依存」しているのです。

つまり、嫉妬心とは、その社会において立場にふさわしいだけの能力、自立や努力を免ぜられている者が起こす感情と言えるのです。


嫉妬は、「自分もそうなれたはずだ」「自分もそれを手に入れる資格がある」という無意識のうちの思い込み(傲慢さ)がある場合に発生します。
他人と自分はまったく違う存在であり、同じではないのだ、ということを理解して、他人をうらやむことをやめ、自分自身の持てる立場で自分のために努力することができれば、嫉妬消えてしまうでしょう。

嫉妬心は、常に自分の一歩前を進む人の足を引っ張りたいという欲を持ち、チロチロと燃える炎のように常に自身を苦しめ続けます。

  1. 「私は今、誰の物差しで自分を測っているのか?」
  2. 「私は自分の人生を、他人の成功のせいにすることで放り出していないか?」

嫉妬で苦しめられているなら、自分自身の感情をよく観察することです。


さらに付け加えるならば、嫉妬することそのものが、必ずしも悪いわけではありません。「嫉妬は、自分が本当に欲しているものを教えてくれるコンパスでもある」とも言えるのです。