「ほめて育てる」という言葉が良く使われます。
「ほめると、ほめられた方はやる気を出して、前向きに頑張ることが出来る」と世間一般では言われますが、本当にそうでしょうか?
ほめられることには、どんな効果があるのかを知恵者に訊いてみました。
「褒め(ほめ)言葉」には、厳密には「ほめられた者に対する報酬」はありません
「褒められた」ということ自体では、褒められた側が報酬(食事、成功体験、安全確保)を得られているわけではありません。
褒められることで得られるのは、
「あなたは、我々の中で十分に役立つ必要な存在です。」
という「社会的所属や、受け入れられているという安心感」です。
人は「褒められる」と「集団に所属し続けられる人物像」を目指すようになります
褒められることで人は、
①所属を維持するため
②集団内で受容され続けるため
③自己のポジションを確保するため
つまり、自分の「思考」や「行動エネルギー」を①~③に振り分ける習慣を強化することになります。
結局、「自立した目標を目指す」よりも、「集団に所属するためや受容されるため」を優先する意識を強化することになります。
「集団に所属し続けられる自己」は、自己の成長とは関係の無い「現状維持」を本能的に目指します
つまり人を褒めるだけでは、「所属意識」しか強化できないことになります。
それでは、「褒めて育てる」の「育てる」ためには、どうすれば良いのでしょうか?
「育つ」とは、「集団に所属する意識」ではなく、「自分自身で成長しようとする意識」を強化させることを意味します。
ゆえに「人を褒めることで育てる」ためには、重要なポイントがあります。
人を褒めて育てるためには「褒める目的」が極めて重要です
褒めるだけでは「所属願望」しか強化できないので、
1⃣何を目的に褒めるのか
2⃣どう貢献してくれたかの説明
3⃣どの能力・行動に対して正当に評価しているか
1⃣~3⃣をはっきり示すことによって、褒められる人の所属願望ではなく、自己成長願望を強化できます。
目的意識の無い誉め言葉は、人を所属集団での現状維持に走らせて、成長ではなく停滞を招くことになります。
まとめ
目的意識の無い誉め言葉は、褒められる側に現状停滞による精神腐食を招きます。
目的意識のある誉め言葉は、褒められる側の成長を促進する装置として働きます。
結局、人を褒めて育てたいならば、はっきりと目的意識を持った褒め方をすることが最も重要です。