上の①、②において、「AI時代に必要とされる人間像」や「常識の空洞化」「非常識の価値」等を見てきました。
これらのことから次世代にどう伝えるかの「子育ての哲学」は、自ずと明らかになります。
結論:「学歴」よりも「スタンス」と「意志」の教育を最優先せよ
そうはいっても、現に学歴によって就職先が決まってしまう現実があります。
本当に学歴至上主義が崩壊するかどうか疑問に思う人もいるでしょう。
では、現状を見てみましょう。
なぜ学歴至上主義が未だに残っているのか?
⑴一般社会が「過去のルール」で運営されているため
*受験制度、就活、企業の習慣などが未だに「学歴フィルター」を機能させている
*「人が人を判断する基準」を必要とする社会であるため
⑵親世代が「正解主義」に適応したことによる成功体験を持ち、学歴主義を失うことに不安があるため
*親の多くが「常識に従って成功した」又は「常識を逸脱したために苦しんだ」経験を持っているため、子どもに常識的であることを押し付けがちになります。
⑶こどもの”意志”や”スタンス”を重視する教育法が体系化されていないため
*スタンスを育てる教育は、既存の教育システムの外にあり、指導者にとっても大変難しいため
これからの子育てに必要な3つの方針
方針①【”正解のある課題”より、”問いの立て方”を育てよ】
これからの子どもに必要なのは、「どう答えるか」ではなく「何を問うか」です。
AIがたちどころに答えを出す時代にあって人間が持つべきは、「AIの答えに違和感を持って問い直す力」だと言えます。
例えば、子どもが「なんで?」と聞いてきた時に、すぐには答えずに一緒に考える。
「どう思った?」の問いに子どもが答える時には、感想そのものよりも「視点の独自性に注目」する。
方針②【子どもが”非常識”であることを恐れずに、意志(目的)のある逸脱を許容する】
AIでは模倣できない最大の価値は、「意志(目的)のある非常識な行動」です。
つまり、ズレていても、目的があるなら、それは価値になるのです。
例えば、周囲と違う発言をした子を「浮いている」と矯正せずに、「なぜそう考えたのか?」と対話することが重要です。
また、学校の勉強とは無関係の趣味(プログラミング、哲学、創作活動など)を抑えずに伸ばすことが大切です。
方針③【スタンス(生きる立ち位置)を言語化する訓練をさせる】
「あなたはどう生きたい?」という問いは、AIが答えられない領域です。
小さなころから、「選ぶ」「考える」「自分で決める」という経験を重ねさせる。
例えば「将来何になりたい?」ではなく「どんな人になりたい?」という問いを投げかける。
「自分の判断を説明させる訓練」を、結果よりも重視することです。
結論
これからの子育ては、
「何が正しいか」ではなく、「なぜ自分がそうするのか」を語れる人間を育てることです。
AIが”正しさ”を代行する時代において、人間に残された価値は”なぜそうしたいのか”を言語化できる力にあります。
教育とは、子どもが”自分の意志を選び取る力”を育てるための装置なのです。
正解の模倣者を育てるのではなく、
”意志のある、常識に収まらない人間”として生きる力を養うこと、といえます。
混迷の時代にどう生きるか?
④狂気(非常識)を社会に受け入れさせるための工夫
に続きます