絶対に譲れない線、許せないこと、というものが誰にでもあるでしょう。
- 人に迷惑をかける奴は絶対に許せない!
- 悪い奴は絶対に許さない!
- 自分を軽蔑する人間は絶対に許せない!
- 仕事を失敗するような奴は絶対に許せん!!
- 私の言うことを聞かない人は許せない!!
これらの感情は、「思い通りにならないと気が済まない!」という想念を持っているために起こります。
どんなに許せないことであっても、その否定的な願望が簡単に実現できるもの、達成可能なものならば、大した問題となることはありません。
コーヒーが欲しくて気が済まないなら、コンビニやスーパーで手に入るでしょうし、窃盗や暴力、悪党が許せないなら、警察を頼れば良いだけです。
しかし、もしもこの欲望が実現不可能なものであったり、非現実的な妄想だとしたら?
非現実的な目標は、非情ながら実現されることはまずありません。
それでも諦めきれない。
達成できないと気が済まない!
できるはずだ!
いや、できるんだ!できないのは頑張りが足りないからだ!!
できない事自体が許せない!!!
往々にして、根性論を持ち出す経営者には、このような考えを持っている人がいます。
そういう人はそれが達成できなかった時、責任を部下に押し付け、
「何故こんなこともできないんだ!!」
と八つ当たりするものです。
そうすることで、自分が正しい仕事をした気になるのです。
実際は経営者に限りませんが、もしも自分が他人に対して過度な期待や達成不可能な目標を課していたとしたら・・・
「実現できなければ赦せない!」
ならば、その「実現不可能な現実」そのものが、自分自身を苦しめる元凶となります。
何もないところから「苦痛」を作り出し、それによって苦しめられているのは何を隠そう、その想念を発揮している本人自身です。
しかし、本人にはそれは認識できず、「苦痛の原因」を他者に求めるのです。
結果、「自分の創り出した苦痛」を周囲に押し付けるようになります。
まさに本人自身が「苦痛製造機」です。
チャネリングによれば(舎利子尊が仰るには)仏教では、この欲に呑まれた様を
「我を通す」
と言うようです。
このような状態に飲まれていると、
俺は精一杯、一生懸命やっている!周りはやってないじゃないか!!
と、他責に走るため、自己評価が過剰に高くなりがちです。そして周囲を見下し始めます。
これは非常に危うい状態です。なぜならば、自分に責任の一端があるにもかかわらず、他責ばかりに夢中になっているというのは、まさに「現実逃避」以外の何物でもないからです。
本人は理想の実現に奔走しているつもりになっていますが、実際にはうまくいかない現実から逃れるために、他責に走っているに過ぎません。
本人のやり方がまずいためうまくいかないのですから、自分自身が反省し、手法を変えることが理想実現のためには最も早道なのです。
このように、無意識のうちに無為な妄想(無駄な執着)や、我欲(自分勝手な妄想)を持っていないか?
我欲に任せて現実を無理に操縦しようとしていないか?我を通そうとしていないか?
自分の在り方を省みれば、新たな気づきが得られるかもしれないのです。